第1弾
探険船ストックホルム号で航く
白夜の季節に訪れる スピッツベルゲン島クルーズ 12日間(3日目)
● 3日目 2008年6月9日(月) 曇り・晴れ
朝は各自ゆっくりお過ごしいただきました。
11:00 ホテル・チェックアウト。スーツケースを預けてから、全員で再び町の散策へ。ホテルの外にスヴァルバール・トナカイが出現!写真を撮ろうと近づいたら逃げていってしまいました。まだ白い冬毛のままだったので、角のはえた牛みたいでした。その後、町の銀行で両替をしたり、郵便局に行ったり、ショッピングをしたり・・・小さな町なので、どこに行くにも迷わずに便利でした。
スヴァルバール・トナカイは、本土のトナカイより小柄で足が短く、毛が長いのが特徴です。カナダに生息しているトナカイと同様の種類と考えられています。冬の間は、風が雪を払いのけ草を食べやすい山の尾根にいます。夏の間は、ツンドラの大地を覆う植物が生えているところに姿を見せます。冬毛は白く、夏になると冬毛が抜けて茶色の毛に変わります。
13:30〜
SASホテル内レストランにて昼食
ポークグリル・温野菜とポテト添え、ピスタチオのアイスクリーム
ガイドのリサもご一緒に。
昼食後、ホテルの隣のスヴァルバール博物館へ。この博物館は以前別の場所にありましたが、スヴァルバール大学の校舎を増築して新たにオープンしました。また、ノルウェー極地協会もここを拠点としています。この博物館では、スヴァルバール諸島の歴史、動物などについてリサから説明を受けました。かつては無人の島だったこのスピッツベルゲン島を、1600年代後半には、オランダの航海者バレンツが発見し、その後捕鯨の拠点となり、オランダやイギリスの捕鯨船が数多く訪れてクジラの乱獲を行いました。その後、20世紀の初めからは炭鉱が作られるようになり、同時に、多くの狩猟者がホッキョクグマなどを採っては売りさばいていきました。猟師がかつて使っていた小屋やホッキョクグマを撃つ木製の装置などが展示されていました。現在では、イヌイットを除いては狩猟が一切禁止されています。中でも驚いたのは、北半球の空気の対流がスヴァルバール諸島付近に流れ降りてきており、ヨーロッパやアメリカなどからの空気汚染物質が動物たちに与える影響が懸念されているということでした。温暖化の影響も心配ですが、ホッキョクグマをはじめとする動物たちによりよい環境を与えるために一人ひとりが真剣に考えるべき時が来ているように思えました。
その後、歩いて船着場に向かいました。
16:30 いよいよ乗船です。
これからどんな探検の旅が待っているのでしょうか。乗船後すぐに出港しました。
ストックホルム号は、1953年にスウェーデンで建造され、スウェーデン海洋管理局の探査船として使われていました。12年前に現在のキャプテン、パーが購入し徐々に改装を行い、ストックホルム号はスピッツベルゲン島を拠点とした探検船に生まれ変わりました。オリジナルの木製のパネル、真鍮を施した装飾、古い地図などが飾られた、クラシックな雰囲気の中にアットホームな優しさを感じさせる船でした。
乗船後、30分ほどしてからサロンにてスタッフの紹介が行われました。
- キャプテン
- パー・エングバール(Per Engvall) *航海中の為、操舵室にいらっしゃいました。
- チーフオフィサー
- イエンス・サムエルソン(Jens Samuelsson)
- チーフエンジニア
- グナー・リンドブラッド(Gunnar Lindblad) *機械室でエンジンチェック中でした。
- シェフ
- シェル・アルヴィドソン(Kjell Arvidsson)
- スチュワード
- アニカ・アンダーソン(Annika Andersson)
- 熟練甲板員
- クリストファー・グルンデン(Kristoffer Grunden)、ヘレナ・ヘドストロン(Helena Hedstrom)
- ネイチャー・ガイド
- リサ・ストローム(Lisa Strom)
*全員スウェーデン人のスタッフです。
引き続き、緊急時に備えての案内がありました。ライフジャケットや氷の海にも耐えられる非常服の装着方法などの案内がありました。重い非常服は着るのも一苦労でした。その後、デッキに出て緊急時の集合場所の確認をし、操舵室でキャプテンとお会いしました。
バレンツブルグの町に入港する予定でしたが、大きな石炭運搬用の船が停泊しているとの情報が入り、予定を変更して立ち寄らずに進路を北にとり航海を続けました。アイスフィヨルド(Isfjord)を出る頃には雲も消え、太陽がでて氷河や雪山を照らし出しました。海は穏やかで、空を飛ぶ鳥たちの姿も映し出していました。ウミスズメ、ハシブトウミガラス、ミツユビカモメ、キョクアジサシ、フルマカモメなどが飛んでいました。北極圏探検の旅がいよいよ始まりました。
20:00〜 船内で初めての夕食
生ハムとサラダ、サーモンのグリル・サフランソース、野菜ソテー、ラズベリーシャーベット
食後のお飲み物はラウンジにて景色をご覧いただきながらお召し上がりいただきました。
23:00 プリンス・カール島のプールエフィンテン(Poolepynten)近くでセイウチの群れを発見。皆さん暖かい服を着てデッキ前方に集合!船上からセイウチを観察しました。曇り空になっていましたが、夜の11時というのにあたりは明るく、北極圏に来ていることを実感しました。約50匹のセイウチがいたとのこと。すべてオスです。春の交尾の季節の後、メスと子供たちはスピッツベルゲン島の東部にまとまってすんでいるそうです。セイウチが食べるのはムール貝のような貝のみ。あんなに大きな体でちょっと意外ですが、お腹の中から6000個の貝が見つかったセイウチもいるそうです。とにかく食べ続けて、お腹がいっぱいになったら陸に上がってのんびり。オスの集
団のボスは牙が長くて強いセイウチ。集団の中で一番暖かくて安全な場所、群れの中心にいて、若いセイウチや経験の浅いセイウチが外を取り巻いているそうです。海から氷の上に上がる時は、牙を氷に引っ掛けます。ヒゲはとても敏感で、センサーのような役割。貝を探すのに便利です。貝が見つかったら上手に中身だけ吸い取って貝殻は捨ててしまいます。ほとんどのセイウチは陸の上で寝転んでいましたが、中には船の周りを泳ぎまわるセイウチたちも出現。愛嬌のある泳ぎを見せてくれました。
探検の旅、最初の動物との深夜の遭遇でした!
その後、船は引き続きフォーランド海峡を北上。私達は各キャビンに戻って遅い眠りに着きました。