5月下旬、約2年半ぶりの海外でカナダ出張へ12日間行ってきました。今回の大きなミッションは3つ。
①カナダ観光局が主催する世界各地からの旅行会社とカナダの旅行業者数千人が集い、カナダの旅行ビジネスをつなぐ1週間の「カナダ商談会」イベントに参加。
②海外渡航再開後のカナダ入国や感染対策の実情など現地の状況の視察。
③野生動物を観察するツアー企画を新規開発するため、視察ツアーに参加。
カナダ政府観光局が、海外渡航再開後の旅行者誘致のため、多額の資金を投入し国をあげたイベントにご招待いただき、「安心×大自然×ロシア問題の影響が少ない航路」の3拍子が揃った方面にチャンスを感じて参加を決意しました。
コロナ前までは毎月のように海外に出かけ、かなり旅慣れていた私でも、国境を越えて無事に現地へ辿り着けるものなのか、空港のチェックインや出入国審査がどれほど大変なのか想像もつかず、出発が近づくにつれて不安と緊張が募る毎日でした。
ワクチン接種証明書の取得や入国時に必要なアプリの登録など諸々の面倒な手続きを事前に済ませ、ドキドキしながらまずは当日成田空港へ。書類確認などに時間がかかることを想定して、3時間前に張り切って航空会社のチェックインカウンターへ行ったものの、並んでいる人もおらず、ワクチン接種証明書を見せただけで、10分もかからずにあっけなくチェックイン完了。出国審査も全く並ぶことなく通過しました。外のチェックインエリアのお店やレストランは午後12時過ぎにも関わらず半分ほどの店がシャッターを下ろし臨時休業中、チラホラと外国人がいるものの、比較的閑散とした状況をみて、「やはりまだ海外へいく人は少ないのかな…。」と思っていたところ、出国審査を越えて驚きの状況!以前と変わらないほどの人で賑わっている様子に思わず立ち尽くしてしまいました。よく見ると、日本人は20%ほどで、ほとんどの人が外国人。成田はアジアの「乗り継ぎ空港」の中心的存在として、しっかりと「生きている」光景に思わず嬉しくて涙が出そうになりました。以前の成田と違う状況があるとすれば、日本人よりも外国人が多いこと、そしてみんなマスクをしているということ。あとは変わらず、搭乗を待ちながら楽しそうに笑ったり、話したりザワザワと活気づいており、どのゲートも飛行機が満席のような賑わいでした。
今回利用した航空会社は「エア・カナダ」。カナダは政府の航空連邦局により機内でのマスク着用が義務付けられているため、乗客は全員マスクを着用しており、まずは安心感を感じました。食事の後、機内アナウンスでもマスク着用が呼びかけられ、それもしっかりと守られていました。安堵しながら最新の映画を見たりしているうちに8時間もかからずにあっという間にバンクーバーへ到着。
海外渡航再開後初の入国にワクチン接種証明書を握りしめて、入国の順路に沿って進んでいき、まず自動入国審査機で手続き、その後、係員から渡航目的など簡単な質問を受け、気がつくともうターンテーブル!「え?もう入国しているの?」と不安に思い、握りしめた書類を持って、近くの係員に「これいつ見せるの?」と確認したところ「いらないよ」の一言に拍子抜けしてしまいました…。カナダは5月に、税関出口でランダムにPCR検査を行っていたため、ここも関門の一つでしたが、全く声をかけられることなくカナダへ入国することができ、実感がないままバンクーバー市内へ向かいました(本当は経験のためにランダムのPCR検査に選抜されたかったですが)。
カナダは各州によってコロナ感染対策の規制が異なります。今回訪れたのは、バンクーバーとトロントの2都市。空港内は両都市ともにマスク着用が義務になっています。また、バンクーバーでは電車やバスなどの公共交通機関でもマスクの着用義務があり、みんなしっかりと守っていました。しかし、それ以外の場所での規定はなく、街中ではマスクをしている人は時々見かけるものの、ほとんどの人がノーマスク。お店やレストランの入口には消毒液が置かれており、消毒に困ることはありませんでした。またレストランは3月頃まではパーティションや座席間隔の規定があったようですが、今はもう廃止になり、コロナ以前と変わらない様子で、そこは日本と大きな違いを感じるところでした。
カナダに到着してすぐミッションの1つである旅行会社向けの「視察ツアー」に参加しました。6泊7日の旅を共にするメンバーは、オーストラリア、ドイツ、フランス、アメリカ、日本から各一人ずつ旅行会社の企画担当者に加えてツアーコンダクターとしてカナダ観光局からのカナダ人、全部で6カ国のインターナショナルなグループ。ツアー初日にまず驚いたのは、私以外の全員がノーマスクであったことでした。ツアー中、このメンバーから各国の海外渡航再開後の旅行需要の状況やコロナに対する考えをたくさん共有することができ、とても濃厚な旅となりました。みんなからの話によると、日本以外の国は、マスク義務の規定もなくなったと同時に、国民が以前の生活とほぼ変わらない生活を送っているようです。そして、コロナ前よりも旅行需要が増えている「リバウンド現象」が起きているとのことでした。アフリカや南米などの国にもたくさん旅行しているということにも驚きました。私以外のメンバーは「ホテルが混んでいて取れない」「レンタカーやバス会社がコロナ禍で車両を売却してしまい車両不足が深刻な問題」などの話題で盛り上がっており、「日本だけが世界から取り残されてしまっている…。」という事実にとても焦りを感じました。
ツアーの後はメインイベントである「カナダ商談会」参加のため、トロントへ1週間滞在し、3日間でカナダのホテルや旅行会社と約70社と商談し、新しい観光素材の情報を得ることができました。カナダの観光業界は厳しかったコロナを乗り越え、新たなステージに向かってみんな生き生きとしている様子でした。「日本人にも早く戻ってきてほしい」と口々に日本への期待を膨らませていました。
日本入国には出発前72時間以内のPCR検査の陰性結果証明が必要です。「陽性だったら帰れない。どうしよう…。」という不安が常に頭をよぎっていたので、陰性結果が出た時には本当に安堵しました。ちなみ検査を受けた場所で「陽性だったらどうなるの?」と尋ねたところ「人にうつさないようにただマスクをすればいいんだよ。なるべく家やホテルから出ないでね。外出や散歩や買い物ぐらいにしてね。また数日空けて検査を受けにきたらきっと陰性になっているよ」と軽い感じで返されました…。日本のような「濃厚接触者」「厳しい隔離」の概念はもうないようです(ちなみに、ホテル代や航空券の変更に伴う追加費用は一部旅行保険でカバーされます)。私が帰国した際は、さらに日本の空港到着時にPCR検査がありましたが、6月以降一部の国を除いて、検査が不要となるので、大分ストレスは軽減され渡航しやすくなります。無事に自宅に帰り、約2週間ぶりに11ヶ月の娘や家族とも再会することができました。
カナダにはまだまだ日本のガイドブックでは紹介されていない、絶景やテーマに出会う観光素材が多く、たくさんの収穫がありました。中でも水上飛行機でしかアクセスできないフィヨルドと山と海を独り占めする全7室のロッジ滞在の体験は特別でした。滞在中は、クジラやラッコに出会うボートクルーズや野生のヒグマ観察、ロッジの目の前に広がるフィヨルドでのカヌー体験、暗闇の海で光る夜光虫観察など、コロナ禍の日常を忘れさせてくれる癒しの時間でした。
今回のカナダの視察を通して感じたことは、「旅行は人生が豊かになる『心の財産』」であるという弊社の理念の原点です。コロナ前と同じような生活を取り戻し、人生を楽しんでいる欧米人を見て、「さらに人生を楽しむお手伝い」をグローバルでしなくてはという強い使命感を感じました。コロナへの不安を抱えながらも「人生楽しまなくちゃ」と考えてくださる方がいらっしゃる限り、私たちはそのサポートをしっかりとしていきたいと考えております。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。